「どうしたの、いきなり?」

「別に」


なぜかリョーマはずっと僕の肩に頭を乗せたっきり傍を離れようとしない。







甘ったれクリーチャー








越前リョーマという人物を知ったのはつい最近。

どちらからと言う訳でなく、お互い惹かれていって俗に言う恋人同士というものになったのはもっと最近。

まだまだお互いの事を知り尽くしていないのは当然のことだろう。

特にリョーマは他人に自分の感情を表わそうとしないから。



そんな中でも彼について理解していたことがある。

人前では勿論のこと、二人っきりの時にでも傍に寄り添われることを嫌がる。

抱き締めたり手を繋いだり、何気なく肩に手を置いたりするものでさえ彼は拒絶する。

最初はそれがショックだったけど、それから暫くしてリョーマから別に僕のことを嫌って触られたくないって言っているんじゃない、

本当にごめん、と辛そうに謝られてからはそれなら仕方がないとその事については気にしないようにしていた。



きっと彼は怖いんだろう。

他人との接触、つまり他人と深く関わる事が。

いつもは毅然とした態度をとっているけれど、本当はそんなに強い子じゃない。



不完全で、脆い所がある。











「いや…別にこの状況が嫌って言うわけじゃないよ。寧ろ嬉しい位だし」

「なら何も問題ないじゃん」

「そうなんだけどさ、いつもなら絶対こんなことしないのに変だなって思って」



なにかあったの?

そう尋ねてもリョーマから返事はない。








「夢を見たんだ」

「夢?」



急にリョーマが口を開き、沈黙が破られる。




「いつもは夢なんか覚えてないし、見てるつもりもなかったんだけど…今日見た夢はなんかしっかり覚えてる」

「どんな?話せそうなら話してみてよ」

「知ってる人が目の前から居なくなる夢」

「え…?」




「俺の知ってる人どんどん出てきて自分の目の前に居たのに、急にどんどん遠くに行って、消える。

 こんなの起こるわけないって思ってたくせに…最後に周助が出てきて」


「それで?」


「同じ様にどんどん遠くに行って、消えた。必死に遠退いていく周助を追いかけたんだけど追いつかなくて。

 その後すぐ眼が覚めたけど、なんか不安で、会いたくなった。どっかに行っちゃってないか心配で」


「嫌だなぁ。僕はそんなことしないよ」

「解ってるよ、周助はそんなことしないって。でもなんか近くに居たかった…」





そう言ってリョーマはますます強くしがみついてくる。

こんな辛そうな顔を『青学のルーキー』と呼ばれる彼がするなどと誰も思わないだろう。



部活の時に見る彼と、今必死に僕にしがみついている彼。

まるで違う人間みたいだ。







「安心して。僕はずっと君の傍に居るから」






そして、僕の方からも彼をしっかりと抱き寄せてやる。

するとリョーマは少しだけ安心そうな顔をした。









彼を置いて遠くなどには行かない、いや行けない。

傍を離れる事が出来ないのは僕だって同じ事だから。

























タイトルはスピッツの曲から。
不二リョは甘々が基本です、そして弱い一面を不二先輩にだけ見せるリョーマが大好きですw

2006.12.11